2009年9月28日月曜日

俳句総合誌LOVE

俳句をはじめた頃は、俳句総合誌って超ダサいなと思った。ページの隅のカット絵とか、意味不明だし。いや、ぼくを責めるのはちょっと待ってほしい。これっていたってふつうの感覚だと思うんだ。

誌面構成も、年功序列で、マジかと思った。他のジャンルでは考えられない。だって、ロック雑誌でたとえるなら、ポール・マッカートニーが巻頭で、レディオヘッドが中程に小さく載ってるみたいなもんだもの。いやいや、これもぼくを非難するのは間違っている。いたってふつうに驚愕すると思うんだ。

いまではぼくも俳句歴がそれなりにあるので、こういうことはいちいち言わない。俳句総合誌のメインの読者層は七十代だと聞いたこともあるし、そういう誌面作りになっているわけだから、間違っていない。正しい。俳句の世界では、レディオヘッドよりも、ポール・マッカートニーの方が人気があるし、売れるのだから。ビートルズのリマスターがなくても、いつでもビートルズが巻頭なのだ。

もちろん、ビートルズをけなしているわけではまったくない。レディオヘッドだって、ビートルズにはかなわない。でも、リマスターでもないビートルズは、「旬」ではない。「リスペクト」すべき存在だ。「リスペクト」としてきちんと頁を確保すればいい。しかし、巻頭は「旬」の俳人であるべきだ。すくなくとも、その雑誌の主催する「賞」を取った俳人は、その雑誌が認めた「イキのいい新人」なのだから、次の賞まではどんどんフィーチャーして、ばんばんプッシュしてほしい。それもだめなのかな。

ちょっと前の話で恐縮だが、今年の「俳句」五月号はよかった。なにがよかったって、巻頭だ。小澤實、櫂未知子、岸本尚毅というラインナップ。「旬」の俳人が並んでいる。年に一回くらい、こういうことやるんだ。いや、たいへんなことはわかっているよ。というか、みんな応援しているよ。蔭ながらだけど。年に一回でもいいから、つづけてくれ。

二十代から四十代の読者層が増えれば、当然誌面も変わるだろう。レディオヘッドが巻頭にくるだろう。しかし、そんなことは起こるわけもない。であれば、レディオヘッドが巻頭にくるような雑誌をじぶんたちでつくるしかないのか。だれかスポンサーになってください。

「短歌ヴァーサス」という雑誌があった。ニューウェーブ以降の歌人、あるいは、ネット世代の「ポスト・ニューウェーブ」とも言える若い歌人たちをフィーチャーした短歌雑誌で、たまに読んでいたのだが、11号くらいで休刊になってしまった。これはショックだった。穂村弘や東直子や斉藤齋藤でも、やっぱりだめなのか。

でも、いくらメインターゲットが七十代だといっても、ぼくも一読者だし、一当事者として、少数派なりに、言うべきことは言わなきゃいかんと最近思う。無駄だと思っても、バカにされても、やっぱり、「カット絵」とかにツッコミを入れ続けていかなきゃいけないのだ。頭がよくて、ものわかりのよい、リスペクト礼賛の優等生的な、保守的な若手が多い気がするが、本当のところはどうなのだろうか。こんなこと考えているのはぼくだけなのだろうか。それとも、こんなこと言っているとスポイルされちゃうから言わないだけなのか。こんなこと言ってもしようがないよ、とバカにされそうだけど。いまの状況をみていると、古典的な俳句に対する信仰に近い楽観主義のようなものが覆っているように感じてしまう。俳句村で自己完結してしまう不安はないのか。俳句という表現自体が時代から存在を問われているような危機感はないのか。

なんだか話が大きくなってしまったが、俳句総合誌好きです。いまは、「波」を立てない、「風」を起こさないよう細心の注意を払っているような誌面づくりですが、めちゃめちゃダサいですが、それでもツッコミをばんばん入れながら、これからも読んでいきます。

 胡麻振るやハンバーガーのパンの上   榮 猿丸

3 件のコメント:

  1. こんばんは。はじめまして。
    俳句を少々たしなんでいる者です。

    猿丸さんのおっしゃる「二十代から四十代の読者層」に当てはまる身ですが、
    「俳句総合誌LOVE」を読んでいて、ふと、そもそも「雑誌」をほとんど買わない自分に気付きました。
    年間せいぜい2、3冊くらい。うーん、皆さん「雑誌」、もっと買っているものなのでしょうか。

    情報の鮮度でいえばインターネットの勝ち、情報量でいえば単行本の勝ち、という中、
    「雑誌」自体、これからどうなっていくのだろう。そんなことをちょっと思いました。

    あ、俳句総合誌も余りお金出して買っていません。
    公立図書館で月遅れで目を通していますが、それでそんなに困ることもない……。

    長々失礼致しました。

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  2. えるさん

    コメントありがとうございます!

    いわれてみれば、雑誌、買わないですね。
    俳句総合誌は、いま、結社誌で総合誌の俳句鑑賞を書いているので、必要にせまられて買ってますが、それを抜きにしたら、たしかにぼくも年に2,3冊くらいです。

    俳句総合誌のウェブマガジン版があるといいなと思います。とうぜん、メイン読者層が70代というわけにはいかない。平均50代くらいにはなるでしょう。そうすれば、登場する俳人も、コンテンツも変わる。ウェブならではの、「旬」の俳人や話題がメインとなるでしょう。しがらみもすくなく、自由度が上がる。いいなあ。やってくれないかな。広告が取れるかどうかでしょうが。。。

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  3. 猿丸さま

    お返事ありがとうございます。
    ちょっと言葉足らずだったかと思うのですが、
    「俳句総合誌も余り買わないし、その他の雑誌も気付けば余り買っていない」
    って言いたかったのです。
    インターネットの普及によって、
    雑誌という出版形態自体が今までにない状況に晒されているのでは、と思うのです。

    おっしゃる通り、ウェブマガジン版俳句総合誌これから出てくるかも知れませんね。
    その場合、紙の雑誌は続くのか、滅ぶのか……。

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