昨年11月、奈良でライブをしたときの記事でご紹介した二人の友人、小学校以来の幼なじみであるY氏、中学からの親友であるM氏の二人とともに、例年行なっている「大会」という行事がある。
各人がレポート用紙数枚に、一年後の自分たち三人に向けてのメッセージを記す。
昨年記した文書を開封して読み、今年の文書を作成し封印するまでの一連の儀式を、一泊二日程度の旅行に出かけて行うのである。
高校生のとき私の実家を会場にはじめたものだが、今回21回目を迎えることになった。
メンバー三人が持ち回りで幹事をつとめており、今回は私の番である。
ちなみに私が主催したときは開催地に関わらず「東京大会」と呼ぶ。Y氏主催のときは「広島大会」、M氏のときは「奈良大会」である。この名称はそれぞれが大学時代を過ごした土地にちなんでいる。
今回は熱海が会場であるため「第21回 東京大会 in 熱海」という名称となる。
熱海の海沿いにあるホテルに現地集合し、食事前に開封の儀を執り行った。
各自昨年の大会のときに執筆した文書を読み、感想やこの一年間の出来事を語り合う。ちなみに昨年の「奈良大会」は渥美半島の田原市にて3月に行われた。
今回は大会の他にもやらなくてはいけないことがあった。
Y氏作曲の新曲に私が詞をつけることになっているのだが、その第一稿へのダメ出しの会がそれである。
作詞ははじめてながら、思ったよりも良い詞が書けたと自身を持っていたのだが、二人の、特にM氏からのダメ出しはかなり厳しかった。共同創作ということは楽しいが、難しさも当然ある。
作詞者として私の名がクレジットされるとはいえ、出来上がった歌は作曲者のものでもあり、演奏者のものでもある。
したがって彼らは、俳句で他人の作品を批評する場合とは違い、自分の作品として批評を加えてくるのである。
当然矛先も鋭いし、言い方にも遠慮はない。
加えて、もっと基本的なことだが、言葉を音にあわせることの難しさがある。音より言葉が余るようにしたほうがいいと言われたのは意外だった。
二日目は朝から三人で海岸を散歩した。
お約束だが、貫一、お宮の像の前で私が貫一役、M氏がお宮役としでポーズをとり、写真を撮影してみた。
チェックアウト後、伊豆山という、熱海の北端側の山にある神社に向かった。
ここには源頼朝、北条政子に縁のある石などがある。
続いて熱海の南端の岬のような場所に建つ、鉄筋コンクリートの城、熱海城に向かった。昭和30年代に作られたこの城には、甲冑やマッチ棒で作った城郭の模型、浮世絵を複製したパネルなんかが飾られていて、なかなか良い感じにいかがわしい場所だった。
そして、歩いてすぐのところにある熱海秘宝館へ向かった。
かつては全国各地の温泉街にこうした秘宝館があったらしいが、多くはすでに閉じられてしまったようである。
展示物は男三人で見て回るには、なんとも微妙なものが多かった。何組かの若いカップルがいて、それなりに楽しそうにしていた。
BGMとして流れているムード歌謡調の「熱海秘宝館のテーマ」がとても気になってしまい、調べてみると「サロメの唇」というグループが近年、この歌をカヴァーし、CD化したという。
秘宝館をあとにして、熱海駅へ向かった。
昼食のあと駅前ビルにある喫茶店でコーヒーを飲みながら、各自の文書を封筒におさめ、封印し、一連の儀式は終了である。
封筒に表書き、裏書を行うM氏の達筆を店員の女性が覗いていた。
絨毯の深くもあらぬ秘宝館 中村安伸
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