2010年1月8日金曜日

 ― 9から10へ ―

 

   石積んで崩して寒泳を待ちぬ     青山茂根 


 過ぎたことを、年があけてから語るのもなんだか面映いが、年末から新年にかけてのあれこれを、少し。休みに入った、冬の一日を、炬燵でのんびり、もいいけれど、師走の29日か30日くらいに築地の場外市場へ買出しに行くのも楽しい。昔、鰹節やら昆布やらの母の買い物のお供で時折でかけた。気っ風のいい売り子の掛け声を聞きながらあちこち冷やかし、仕舞いの時間(かなり早い、昼過ぎに閉めてしまう店も)が近づくとまとめて値引きしてもらえたりする。といっても、もう何年も出かけていない。今年こそは、と思うが、本当に移転してしまうのだろうか。

 昨年の12月は、バレエを二回見て、横浜の夜の景色と白金の明学のツリー(ここは人がいなくて、静か)を見に出かける(あ、旧フランス大使館建て替えに伴うアートイベントにも出かけた。クラブルームもあり夜のがいい雰囲気)。外にディナーを二回食べに行き(一軒目は大外し、去年までは良かったのに)、家でクリスマスのディナーを二回作り、そこで体調を崩しローストチキンを焼く匂いで胃が駄目になりダウン。1,2日寝込み、なんとか復活し、多少掃除をこなし(でもとても大掃除とは言えない、中掃除くらい)、30日からおせちを作り始める。
家によっては、仕事納めを終えた父親が全てのおせち料理を作るしきたりのところもあるそうで、それもいい風景だ。

 私はといえば料理上手ではないし(ただの食いしん坊)、うちの母もあまり得意ではなかったので、本を見ながらなんとか(それにあまり好きでないごまめとかは作らない)だが、ちゃんと出汁をとればまあまあ。小さなレストランなどで作っているおせち一式を買ってくるのも好きなのだが(八雲にお気に入りの家庭的フレンチがあり、そこのを買うか、ぎりぎりまで悩む)、買ってきても結局和風のを自分で多少は作り足すことになるため、今年は購入をあきらめる。ま、季語だし、作るかってことで。子供が案外、家で作ったものを好むのだ(黒豆なぞ、煮てるそばから啄ばみにくるのでへたすると正月前になくなる)。栗きんとんの裏ごしでへとへと。フードプロセッサーだと何秒で済むか。おせちの他に小豆を煮る。

 

 新年の瞬間を、大桟橋や山下公園あたりで、いっせいに鳴り出す船の汽笛に包まれて迎えるのもいいのだが、寒い。これは帰りに、その辺の裏道でラーメンでも食べて帰らないと、のパターン。その裏街道っぽい雰囲気の町も、面白い。

 昨年は、除夜の鐘に出かけた。近所の寺で、前日に配っていた整理券をもらい、当日深夜集合。人通りも、車も絶えた道を歩いてゆく。寺の周囲は真っ暗だったが、薄暗い境内にぽつぽつと人影が。到着順に石段を登り、手を合わせてから横木をくぐって入る。思ったより軽い手応えながら、鐘のすぐ下で聞く音の違い。突き終えて、寒さが少し収まった、静かな道をゆっくり帰る。本当は、新年の瞬間に発砲系の飲み物といきたいところだが、まだ胃が回復しきっていない。

 三日には、多摩川の河川敷で凧揚げ&サッカーに燃える。この何もない広い空間も貴重だ。次週は、以前何度か出かけた、欧州の歳末から新年のことを。またゆっくり行けるのは、いつになるやら。


 
 



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