2010年4月27日火曜日

初心者連句入門 第2回 連句の用語と基本的なルール その1   葛城真史

今回は連句のいろいろな用語やルールについて書きたい。

「長句」と「短句」

連句は、「長句」(ちょうく=5・7・5)と「短句」(たんく=7・7)を交互に連ね、製作する。第一句目を「発句」(ほっく)、最後の句を「挙げ句」(あげく)という。前者は必ず「長句」、後者は必ず「短句」になる。なお、現在も使われている”挙げ句の果て”という表現は、ここからきている。


「捌き」と「連衆」

連句を製作することを「巻く」という。巻く際のメンバーを「連衆」(れんじゅう)といい、その場をとりまとめるリーダーのことを「捌き」(さばき)という。連句の進行は、基本的にはこの「捌き」が、連衆の句を一覧し、付ける句を決めてゆく。付ける際に句の修整が必要であり、捌きがそれを行うことを「一直」(いっちょく)という。捌きを特に決めずに連衆たちで相談しつつ句を付けていくことを「衆議判」(しゅうぎはん)、順番を固定して進行することを「膝送り」(ひざおくり)という。

また、連句は基本的に数名で巻くものだが、一人で巻くことを「独吟」(どくぎん)、二人で巻くことを「両吟」(りょうぎん)という。後者は基本的に「膝送り」で行われるが、自然、一方が長句だけ、もう一方が短句だけになってしまうので、途中で一方が二句つづけ、順番を入れ替える。


「季句」と「雑の句」

季語が入る句を「季句」(きく)、入らない句を「雑の句」(ぞうのく)という。形式にもよるが、季句を入れる場所は、おおよそ決まっている。連句を巻く当季が発句の季節となり、それにより他の季節の配置が変わる。また、捌きのあんばいにもよる。このことは今後、「歌仙」(かせん)の解説をする時に詳しく触れたい。

連句の季語は、たとえば「春」なら、「初春」「仲春」「晩春」、そしてこの三つにまたがる「三春」にわかれる。同様に、「夏」は「初夏」「仲夏」「晩夏」「三夏」、「秋」は「初秋」「仲秋」「晩秋」「三秋」、「冬」は「初冬」「仲冬」「晩冬」「三冬」にわかれ、これに「新年」をくわえた十七季が、連句の季語の分類である。


「季句」のつづけ方と「季戻り」

連句では「夏」「冬」の句がでたら、”一句以上三句まで”、「春」「秋」の句は”三句以上五句まで”つづけることになっている。

季句は、その季節の中においては、現実と同じ順番で付け、戻らないようにする。たとえば、「初春」→「初春」→「晩春」はよいが、「初春」→「晩春」→「仲春」となってはいけない。これを「季戻り」という。

「三春」「三夏」「三秋」「三冬」は、いわばオールマイティで、「初春」→「三春」→「仲春」、あるいは「晩春」→「三春」→「三春」のように使える。ただし、「三春」→「三春」→「三春」のように付けるのは、禁止ではないが、好ましくはない。

ところで、先に「その季節の中においては」とことわったのは、連句では、たとえば「秋」の句の後に雑の句をいくつかはさんで「夏」の句をだしたりするからである。


「月の定座」と「花の定座」

連句では、一巻(いっかん=一つの連句作品)の中に必ず「月の句」と「花の句」を詠み込むことになっている。「月の句」を詠む場所を「月の定座」(つきのじょうざ)、「花の句」を詠む場所を「花の定座」(はなのじょうざ)という。それぞれの句数や何句目に詠むかは、各形式により異なる。なお、ここでいう「花」とは、連句では「桜」のことをさすが、「桜」といわず、必ず「花」と詠む。「花の雲」「花冷」「花万朶」(はなばんだ)などのことばがある。

定座の場所に関して、”「月」は上げ下げ自由。「花」は上げてもこぼさない(下げない)”といわれる。しかし、「月の句」はある程度柔軟に前後させても(「捌き」が判断する)、「花の句」は動かさない方が無難である。私の経験でいうと、連句を巻く時期が桜の季節である場合、例外的に発句に「花」をだすことがあるが、それ以外で「花」を動かすことはない。

今回、「自他場」や「打越」についてまで触れようと思っていたが、例句が必要だと思い、次回にまわすことにした。今回説明したルール等についても、これらは基本的なことなので、必要があれば随時補足したい。

また、何度か「形式」ということばを使ったが、これについてはいずれまとめて説明したい。

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