2010年12月15日水曜日

来た!見た!勝った(何に?)

ごきげんよう。スカートのプリーツは決して乱さない俳人葉月です。

コンビニエンスストアに入ると年賀葉書が目に付く季節になりましたが皆さん如何お過ごしでしょうか。今年もやり残したことばかり、なんてことを私なんぞはつい考えてしまいます。
おそらく死に際になってもやり残したことばかりとか思ったりするんでしょう、私の場合。でも、せめて集中治療室で死ぬのだけは避けたい。世の中、孤独死を問題視する傾向がもしかしたらあるのかもしれないけど、あんな24時間明るくてやかましい場所でチューブだらけになって死ぬくらいなら、孤独死の方がよっぽどマシじゃないだろうか。
それにしても生まれ変わったところでまた同じように後悔の多い人生を送るかと思うと今からウンザリである。まだ始まってもいないことを思い煩う辺りが私の駄目なところか。
ところで悟りを得ない限り「無限に」輪廻転生を繰り返すとしたら、どんな生命も最終的には「必ず」涅槃に至ると考えることは仏教的に(社会思想的に?)はともかく数学的に意味があるのだろうか。

そんな訳で『マリア様がみてる』実写映画のこと。何故「そんな訳」なのかと言うと『お釈迦様もみてる』からの連想というだけの話なのだが。
正直なところ自分でも見に行くとは思っていなかった。なにしろあれほどSense of
Wonderが散りばめられSFマインド横溢の作品をアニメ化するだけでもぎりぎり崖っぷちな感じなのにまして実写映画化なんて何考えているのだろうってなものである。
実写版『デビルマン』みたいに日本映画史上に残る愚作ぐらいの評判が立てばもちろん見に行くつもりではいた。
撮影期間が実質一週間程度だったという話も聞いていたので、単なるやっつけ仕事的な映画だろうと予想していた。実写版『キャッツアイ』のように中途半端な駄作ぐらいな印象になるのではないかと。

映画が公開されてすぐWEBで頻繁に評判を目にするようになった。ごく普通にWEBにアクセスしているとどんどん『マリア様がみてる』情報が入ってくる(いやそれはごく普通じゃないから。でも元来WEB上には『マリア様がみてる』情報が大量に出回っている。二次創作・パロディの類の量と云ったら歴代のその手のものが多いので有名な人気作『キャプテン翼』や『テニヌの王子様』を遙かに凌駕しているのではないか。単に人気があるというより極端に愛されている作品である。原作を一度でも読むとどうしてもユニラテラルな「衝撃のスール宣言!」という暴挙に出た上にロザリオの授受を行ってしまうらしい(当社比))。たいていの人は恐る恐る見に行ったけどけっこう良かったという感じ。

なかには祐巳役の役者さんが素で下手なのか役作りの結果ああなっているのかさっぱりわからず何度も映画館に足を運んでしまう人も出ているとか。何度も映画館に足を運んでしまっても結局結論が出ないので、もしかしたらあれは「千の仮面を持つ少女!」なのではないかとも。
「千の仮面を持つ少女!」と聞いてもう居ても立ってもいられず勤め帰りに新宿三丁目で見てしまいました、レイトショー1200円。

面白い。1200円分くらいは絶対に楽しめます。特に祥子と祐巳が体育館でダンス(の練習を)する場面はアニメ版なんかより遙かに良い。映画っていいなあ。祐巳役の未来穂香は確かティーンズ誌のモデル出身だったはずなのだがなんとなく他の役者さん達に比べてずんぐりしているところが良い。
それから藤堂志摩子。世界中の多くの人々と同じように私もまた能登声以外の藤堂志摩子というのはまったく想像できなかったというか積極的に拒絶反応が出るとばかり思っていたのだが高田里穂の演じる藤堂志摩子にまったく違和感を覚えなかった。そのうえ、”魔法少女シマコ”ネタもしっかりフォローしている。
だいたい所謂無印って写真部のエース蔦子さんの出番が多いのでわたし的にポイントが高めなんだよなこれが。

実際のところ私は原作を十回以上読んでいるので映画の内容を理解するのに苦労するはずもないし、滑舌が悪くて台詞が聞き取り難いところをスルーしていまう傾向もあったのだが、原作未読の人にとっては登場人物の名前を憶えることすらもしかしたら難しいかもしれない。
そういう点では観客を選ぶ映画である可能性が強い。しかし『仮面ライダーオーズ』ファン、『マリア様がみてる』原作ファンだったら見て損のない映画だと断言できる。

もう少し時間をかけて丁寧に撮ったらよくなるのにという場面は多い(というか満載なのだ)が、「惜しい」という気が全然しない不思議な映画。
結局、映画っていうのは監督次第なのだなという感慨に行き着く。同じ監督の『デメキング』や『口裂け女2』も是非見てみたいと思いました。

生物部顧問ガーターベルト冬  葉月


0 件のコメント:

コメントを投稿