2009年10月14日水曜日

ロシア大使館

渡航ビザ申請のため麻布台のロシア大使館を訪れた。
ちなみに渡航するのは私ではない。

頑丈な高い塀の向こうには木々が生い茂り、奥まったところに白い建造物の聳えるのが見える。
ロシアのあざやかな三色旗もそこここにはためいている。

正門の前には二人の警官が立ち、車止めのバリケードが敷き詰められている。
とてもものものしい雰囲気である。

ビザの申請窓口へは少しはなれたところの勝手口のようなところから入るのだが、ここにも警官がひとり立っており、やはり警戒は厳重である。
昔勤務していた会社の事業所がこの大使館の並びにあったため、この付近を通りすぎたことは何度もあるのだが、中に入るのははじめてのことである。

各国の大使館が多く存在するからだろう、東京のなかでもどことなく異国へ通じる雰囲気を持っているのが、この六本木麻布界隈ということになるだろう。

待合室は思ったよりも明るく、飲み物の自動販売機などもある。
また、銀行や郵便局でよく見かける、順番待ちのための受付カードを発券する機械があって、思ったより親しみやすいという感覚を持った。

順番が来て窓口へ行ってみると、こちらはうって変わってものものしい雰囲気を醸し出していた。
おそらくは防弾ガラスと思われる厚いガラス板で完全に仕切られ、職員との会話はインターホン越しである。
なんとか無事に申請を終えて六本木方面へ、六本木ヒルズに目当てのものはなかったが、東京国際映画祭のポスターなどを眺めて楽しんだ。

行ったことはないが、ロシアという国へは憧れと畏怖を持つ。
すばらしい音楽や文学を生み出した人々が住んでいた国であり、バレエやフィギュアスケートなどにおいて多くの優れた演者を輩出してもいる。
その情熱的で享楽的なイメージと、かつての恐怖政治や強大な軍事力といった冷酷で力強いイメージとの強いコントラスト、それが私のもつロシアという国への先入観である。

すこし恐ろしく、面倒な気もするが、やはりいつかはロシアに行ってみたい気がする。
……ところでビザは無事発行されるだろうか?

十月の森に囲まれ大使館   中村安伸

2 件のコメント:

  1. 「狸穴のロシア大使館まで」ってタクシーに言えば通じたものでした。大使館には入ったことないのですが、あの裏手にラジオ日本とアメリカンクラブがあって。まみあなという古い地名そのままに、今も木々が茂っているところでした。

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  2. ロシア大使館の脇にある細くて急な坂道が、たしか狸穴坂という名前でした。昔は狸がいたのでしょう。今もいるんじゃないかと思わせるような雰囲気がありますね。
    話は逸れますが、槇村さとるの『まみあな四重奏団』という漫画を読んだことがあります。最後のページが惜しいと思いましたが、名作でした。
    ビザ発給にかんする顛末は来週書く予定です。

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