2012年1月27日金曜日
― 随句誌『草原』 より ― 青山茂根
月刊 随句誌 『草原』平成23年12月号より。
秋雨が骨を打つ 春風亭 馬堤曲
明け方月が夜からはみ出てる
じゃがいも静かに芽をだしている 福 露
墓に参る背中に雨ふる 薄井 啓司
売家の値段下がって草丈 岩村 操子
降りればビニール傘又一本のキヨスク
繁忙期終わると冬が来ていた 矢野 風狂子
鍋をさらいぬるい酒飲む
墓石の上は青い空の遠い 岸田 渓子
紅葉の川底に影射す
ぐあい悪そうな色の半月 土方 瞭
カップ麺にお湯を入れて来客 馬場 古戸暢
蛇口に映る歪んだ世界だ
目が合わない横向きのまま 米田 明人
人思えば山河深い 藤津 滋人
街の空に座る富士山が黒い 秋山 白兎
胸の谷の上にケータイかざしている そねだ ゆ
食べられそうもない茸も秋
他に上位作品の自解や、通信句会の互選結果と選評、会員による随筆や評論が載っている。定型での句会との選評の違いなど興味深い。どちらかというと、内容や言葉の斡旋、句意について述べている評が多いようだ。定型の場合、意味はとれなくとも良いものは良いとか、内容よりも形に重点を置いて評されることがしばしばある。このあたりから、自由律の境涯性へ繋がっていくのかも。定型で書かれた句は、どこか幽体離脱した自分を半歩後ろから描いているような趣きがあるのだが、自由律の句はそうではないように思われる。また、一人の作者の並べられた句を読んでいくとき、「揺れ」のような感覚を覚える。前の句から次の句へ、揺れ幅を含みながら繋がっていくような。句の意味も、言葉のリズムも。この「揺れ」るような振れ幅が含まれるか否かが、自由律と、定型の中での破調の句との違いであるようにも感じた。
藤津滋人氏のエッセイ「キナバル山登山とボルネオの旅」は、熱帯での登山というあまり知られていない世界、そのロッジや食事など簡潔に記されていて、熱帯雨林独特のあのむせるような花を思い出す。そねだゆ氏の「山田句塔 戦争を詠んだ俳人」も、未知の作家、それも従軍中の句を残した俳人を紹介する試みで、これからの展開が期待される。矢野風狂子氏の文章には、何か大きな、底知れないものが見え隠れするようで、胸を打たれた。非常に重い話なのだが、力のある随筆だと思う。境涯というべきか、まさしく断崖にいるような。
2011年12月19日月曜日
シンポジウムとラジオと俳句フェア
猿丸です。
いろいろ告知3本です。
★
週刊俳句編の俳句アンソロジー『俳コレ』出版を記念したシンポジウムにパネリストとして参加します。
12月23日(金・祝日)午後1時開場・1時30分開演
週刊俳句編『俳コレ』(邑書林)の出版記念シンポジウム&パーティー
【竟宴シンポジウム】(1,000円)
第一部 詠む と 読む のあいだで(1:35~2:35)
スペシャル対談 神野紗希 vs 佐藤文香
第二部 撰ぶこと 撰ばれること(2:45~4:45)
コーディネイト・進行……上田信治
撰んだ人……筑紫磐井、櫂未知子、榮猿丸、村上鞆彦
撰ばれた人……依光陽子、松本てふこ、矢口晃、福田若之
【竟宴パーティー】 (9,000円)
【竟宴二次会】 (3,500円)
俳コレHP→ http://www.haikore.jp/
竟宴申込フォームはコチラ→ http://form1.fc2.com/form/?id=709740
★★
NHKラジオ第1「元日の夜はぷちぷちケータイ俳句」に選者として出演します。
1月1日(日・祝)19:20〜21:30の生放送です。
「元日の夜は、気鋭の俳人のみなさんが集合します。
新春のあなたの気分を俳句にして教えてください。
また、放送では当日のお題も発表し生投稿を受け付けます。
さらに、特選句の人気投票も実施!
選者のみなさんによる吟行句バトルもお聞きのがしなく!」
選者 神野紗希、外山一機、矢野玲奈、榮猿丸
ゲスト だいたひかる
事前の投句も募集中です。
お題は「マフラー」もしくは「デート」
HPから投稿できますのでよろしくお願いします!
http://www.nhk.or.jp/radiosp/k-haiku/
★★★
紀伊國屋書店新宿本店5階で「俳句フェア」実施中!
こちらは週刊俳句に詳しく載っております。
haiku&me関係では
青山茂根の第一句集『BABYLON』
中村安伸の100句が入集した『新撰21』
榮猿丸の100句入集『超新撰21』
も置かれています。
このフェアのすごいところは、俳句本だけじゃないところ。
ボルヘス、バルト、ヴァレリー、ポー、ナボコフ、多和田葉子、倉橋由美子をはじめ、
落語、美術関係の本などがずらっと並んでいます。
アナザー文学としての俳句、その魅力に迫る画期的なフェアです。
新宿にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。